2011-06-22
先日のhonestoライブレポート発見!にあった
「最初にスカウトされたのも阪神パークだった」
実はあまり覚えていなかったのです
でも、どこかで見たか聞いたか記憶があるので、
さがしてみました
徳永英明ストーリー『未完成』
(由比良・著 1988.9.10初版発行)
に書かれていました。
“トゥモロー・ネバー・ノウズ”より一部抜粋。
“あなたもレコードを作りませんか!?”
『ヤングプラザ』という番組だった。番組が主催するコンテストに優勝すると、まがりなりにもレコードを作ってくれるというのだ。彼は、急いで番組のテロップで流された応募要項と宛先をメモする。そして、応援団で知りあった尼崎北高校の後輩に電話をかけた。
「テレビのコンテストに出たいんやけど、手伝ってくれへん?」
その友人もまた、徳永同様、団をやりながらバンド活動をしているという、ちょっと変わった男だった。が、音楽活動は徳永より数段本気で、彼がギターを務めるバンドは既に幾つかのコンテスト経験を持っていた。そして彼自身は“8・8”(当時盛んだったヤマハのアマチュア・コンテスト。シンガー・ソングライター色が強いポプコンに対し、この大会はロック系で、しかもプレーヤー色が濃かった。このコンテストからはKODOMO BANDやBAKUFU-SLUMPの前身バンド等、幾つものプロ・ミュージシャンが巣立っている)の地区大会でベスト・ギタリスト賞を受賞していた。
徳永は彼のバンドに、オリジナルの中でも特に自信があり、評判も良かった曲を手渡し、バンドでのアレンジを頼む。「サンフランシスコ」だ。
もともとフュージョン色の濃い(つまり演奏テクニックが高い)そのバンドは「サンフランシスコ」をあっという間にバンド・アレンジしてのける。彼らは当日、予選会場である阪神パークに自信を持って乗り込んでいった。演奏もOK、歌の手応えは先の自主コンサートで掴んである。
「大丈夫やろ」
彼も彼の友人たちも、他の出場者の事など思いもかけず、ステージを待った。
そして、本番。彼は初めてのバンドによるステージというハンディを見事にはね返して、自分たちでも納得のできる演奏とボーカルを披露し、他の出場者たちと見物人のささやかな拍手を得た。
「やったね」
そのとおりだった。彼らは予選通過の発表を耳にした。が、ひとつだけ予想外の結果に眼を点にしてしまう。彼らは、いや、徳永は希望していた“ロック部門”ではなく“アイドル・ボーイ”の部門で合格してしまったのだ。
嬉しさと煮えきらなさの複雑に交錯した気持ちで彼らは番組スタッフの決勝大会についての説明を聞き、複雑な思いで帰宅の途につくことになってしまう。
結局、決勝大会への出場を、彼は見合わせる。母親の反対もあったし、18歳にもなって“アイドル・ボーイ”なんて冗談じゃねえって気もあった。それに、自分のやってきた音楽を二の次に評価されたんじゃあ面白くないという意地もあった。
「最初にスカウトされたのも阪神パークだった」
実はあまり覚えていなかったのです

でも、どこかで見たか聞いたか記憶があるので、
さがしてみました

徳永英明ストーリー『未完成』
(由比良・著 1988.9.10初版発行)
に書かれていました。
“トゥモロー・ネバー・ノウズ”より一部抜粋。
“あなたもレコードを作りませんか!?”
『ヤングプラザ』という番組だった。番組が主催するコンテストに優勝すると、まがりなりにもレコードを作ってくれるというのだ。彼は、急いで番組のテロップで流された応募要項と宛先をメモする。そして、応援団で知りあった尼崎北高校の後輩に電話をかけた。
「テレビのコンテストに出たいんやけど、手伝ってくれへん?」
その友人もまた、徳永同様、団をやりながらバンド活動をしているという、ちょっと変わった男だった。が、音楽活動は徳永より数段本気で、彼がギターを務めるバンドは既に幾つかのコンテスト経験を持っていた。そして彼自身は“8・8”(当時盛んだったヤマハのアマチュア・コンテスト。シンガー・ソングライター色が強いポプコンに対し、この大会はロック系で、しかもプレーヤー色が濃かった。このコンテストからはKODOMO BANDやBAKUFU-SLUMPの前身バンド等、幾つものプロ・ミュージシャンが巣立っている)の地区大会でベスト・ギタリスト賞を受賞していた。
徳永は彼のバンドに、オリジナルの中でも特に自信があり、評判も良かった曲を手渡し、バンドでのアレンジを頼む。「サンフランシスコ」だ。
もともとフュージョン色の濃い(つまり演奏テクニックが高い)そのバンドは「サンフランシスコ」をあっという間にバンド・アレンジしてのける。彼らは当日、予選会場である阪神パークに自信を持って乗り込んでいった。演奏もOK、歌の手応えは先の自主コンサートで掴んである。
「大丈夫やろ」
彼も彼の友人たちも、他の出場者の事など思いもかけず、ステージを待った。
そして、本番。彼は初めてのバンドによるステージというハンディを見事にはね返して、自分たちでも納得のできる演奏とボーカルを披露し、他の出場者たちと見物人のささやかな拍手を得た。
「やったね」
そのとおりだった。彼らは予選通過の発表を耳にした。が、ひとつだけ予想外の結果に眼を点にしてしまう。彼らは、いや、徳永は希望していた“ロック部門”ではなく“アイドル・ボーイ”の部門で合格してしまったのだ。
嬉しさと煮えきらなさの複雑に交錯した気持ちで彼らは番組スタッフの決勝大会についての説明を聞き、複雑な思いで帰宅の途につくことになってしまう。
結局、決勝大会への出場を、彼は見合わせる。母親の反対もあったし、18歳にもなって“アイドル・ボーイ”なんて冗談じゃねえって気もあった。それに、自分のやってきた音楽を二の次に評価されたんじゃあ面白くないという意地もあった。
