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『未完成』より⑨

今日、3月31日の“今夜はバラード気分”
…徳永英明さんの楽曲のみを流してくれるラジオ番組(FM-N1)…
My Life
Live on
月と海の贈り物
君は悲しいギター
また明日は来る
そら 花
WE ALL

そして、
徳永英明さんの高校生活のお話です。
そろそろ終わりに近づいていてきました。
『未完成』より⑧の続きです。

徳永英明ストーリー『未完成』
(由比良・著 1988.9.10初版発行)
〝トゥモロー・ネバー・ノウズ″より抜粋。

 「普通のレールの上に乗りたくない」
 卒業後の進路を決定する時期が近付くにつれて、徳永英明の中でふくらんできたそんな思いは、言うなれば彼の中の〝剛″の部分が頭をもたげた結果かもしれない。高校生活も3年になれば、学内は明確にふたつのグループに分かれてくる。ひとつは大学受験という道を決めたグループ。彼らは、大学で求めるものが決まった者であれ、〝なんとなく″組であれ、一様に〝受験勉強″に邁進せざるを得ない。彼らはクラブ活動を〝卒業″し、放課後の〝学生生活″を〝卒業″する。
 もうひとつのグループは、数は少ないが就職組だ。進学組と同じように様々な理由で就職を選んだ学生たちは、残された学生生活をもて余すように、日々の暮らしを送っていた。
 誰もが否応なく自分自身の〝未来″という現実に直面させられ、それまでの人生で一度も味わったことのない、ある種の焦りにとらわれていた。
 もちろん、徳永英明も、それは同じだった。大学受験に心が傾いたこともあった。とりあえず大学に入ってしまえば、数年間の〝執行猶予″は手に入れられる。事実、大学を目指している友人の多くは、そんな気持ちで大学受験の道を定めていた。
 が、彼の中では、大学受験に傾こうとする気持ちを揺り戻す力の方が大きかった。
 「じぁあ、大学で何をやる?」
 そんな思いに、彼の中で答えは出てこない。
 「それじゃあ、周りのヤツらと一緒じゃない。そんなの嫌だよ、やっぱり」
 数週間思い悩み、そして自分の〝未来″を捜した結論は、彼に観光専門学校への願書を出させる。コンダクターとして、国内はもとより世界を周る…、彼は、そんな夢に自分の目標をなんとか重ねた。不思議なことに、ますます数を増やしていく自作曲のテープだったが、その時、彼の頭の中に〝ミュージシャン″という文字は全く浮かんではこなかった。だが、後は卒業を残すのみとなった学生生活の気楽さは、彼の中での音楽の占める割合をどんどん増大させることになる。そして、その気持ちは、卒業直後の、世間で言えば春休みの時期に〝自主コンサート″を開かせるまでになるのだ。
 '79年春、彼は全く独力で尼崎市の小ホールを借りて〝徳永英明コンサート″を開いた。
友人たちはおがみ倒して、後輩たちは脅かして(?)チケットを買ってもらった。
 ほんの一時間くらいのコンサートじゃなかったか、と、彼は記憶している。数10人の観客を前に、彼はそれまで作りためた自作曲の中で、特に自信のある曲をギターの弾き語りで披露する。彼にそんな趣味や才能があったことすら知らない〝観客″の中には、眼を丸くして驚く者も多かった。客席にはもちろん、もうすぐ美容専門学校に通い始める圭子ちゃんの姿もあった。
 「結構いいでしょ?(笑) もし欲しい人がいたら、僕の自作テープを原価で売ります。手を上げて下さい」
 冗談のつもりで、コンサート中に彼はそんな事をステージから言った。ほとんど義理でやって来た連中だ。彼は〝笑いが取れれば″くらいの気持ちだった。が、冗談は冗談で済まなかった。初めて浴びるまぶしいピン・スポットの向こうに、何本かの手が上がるのを彼は見とめる。そして実際、8本のテープが売れたのだ……!!



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