『未完成』より⑥

2013-03-10

先日の『未完成』より⑤の続き、
徳永英明さんの高校生活のお話です。

徳永英明ストーリー『未完成』
(由比良・著 1988.9.10初版発行)
〝トゥモロー・ネバー・ノウズ″より抜粋。

 作曲活動というか、趣味としての、目的のない曲作りは、相変わらず続けていた。
 学内での音楽活動は、中学時代よりはるかに活発になっていて、文化祭ともなれば幾つものフォーク・グループやハード・ロック・グループが日頃の成果を競っていたが、彼はそうした〝グループ″に加わることは相変わらず無かった。友人や話したこともない学生たちの演奏を楽しみながらも、どこかに「あんまりうまくないな、オレのが歌うまいな」という気持ちがあった。だが、そんな彼の音楽を知っているのが、ごく少数の友人と、自分の両親と弟だけであるのに変わりはなかった。
 彼の部屋のステレオの横にある、自作の曲を録音したカセットの数は、少しずつだが着実に数を増していった。その中には、詞も付けられ、タイトルを付けられたものも幾つかあった。
 「かげろう」、「ひなげしの丘」、「東京20時発銀河系行き」、「白いお屋根の喫茶店で」、それに、当時最も自信のあったお気に入りの曲「サンフランシスコ」…。
 そんな曲作りに、当然ながら圭子との恋愛は強く影を落としてゆく。
 ズバリ「圭子さん」。さらに「赤いヒールの女の子」、決定判とも言える「圭子と共に宇宙の彼方へ」…。
 淋しかったレコード棚にも、アルバムがどんどん増えていった。アルバイトで稼ぐ金の多くは(圭子と付き合うようになってからはその割合が減ったが)レコード代に費されていた。彼はレコードを、家の最寄り駅・稲野駅前のレコード店で買った。そこでは、アルバムを一枚買うと、好きなシングルを一枚付けてくれたのだ。彼は既にビートルズとELOのアルバムはほとんど揃えていた。



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